コラム

  1. 鉛筆1本でレッスンする。R7年06月18日(水)
  2. AIの時代に、なぜ“音楽”なのか──人にしかできないことを、ピアノで育てたいR7年06月17日(火)
  3. レッスンに通っているだけでうまくなるのか?R2年10月22日(木)
  4. ピアノの先生の選びかたは?R2年09月09日(水)
  5. 気配り上手はピアノ上手H26年04月15日(火)
  6. ピアノ講師の理想像H23年02月19日(土)
  7. 楽譜は作曲者からの贈り物 ~暗号解読 2~ H21年09月14日(月)
  8. 「継続」と「慰め」H21年06月19日(金)
  9. 楽譜は作曲者からの贈り物 ~暗号解読 1~H20年11月22日(土)
  10. 楽譜は作曲者からの贈り物 ~手紙~H20年10月10日(金)
  11. スタインウェイH19年09月22日(土)
  12. 心に残る詩H21年01月05日(月)
  13. ピアノ発表会を終えてH19年08月17日(金)

鉛筆1本でレッスンする。 R6年6月18日(水)

こんにちは、毛利惠美です。
私はピアノ教室を運営して30年、これまで多くの子どもたちと音楽の時間を過ごしてきました。

実は私にも、レッスングッズに夢中だった時期があります。
市販のものを買い集め、自作で工夫したツールをいろいろ作って──
子どもたちが楽しめるように、飽きないように、と思っていたのです。

でもある時、ふと気づいたのです。

結局、ほとんどのものを手放すことになっていました。
保管する場所、探して出してくる手間、
そして何より、気づけば「レッスン」ではなく「遊び」に寄ってしまっていた時間。
道具に頼りすぎると、本質がぼやけてしまうこともあるのです。

今、私がレッスンで使っている“道具”といえば──
それは、「鉛筆1本」。
(赤青鉛筆や色鉛筆もつかいます(笑))

いや、正確に言えば「鉛筆と、ほんの数個の“7つ道具”」ですが、
それは「レッスングッズ」とは呼びたくない、私の中で数少ない“魔法の道具”のような存在です。

鉛筆だって魔法の杖にでもなりうる大切なものです。
「どうして、ここに印をつけたの?」
「この和音、どういう響きだった?」
「先生じゃなくて、自分で気づくために書いてみようか」

字だけじゃない、絵だって描くし、塗ることだってある。
紙に書くだけじゃない、空中に描くことだってある。

音を出す前に、考えること。
目に見えることと、見えないものの“間”を探すこと。
それを支えてくれるのが、鉛筆1本なのです。

アイテム的なものは、もういらない。
“楽しいレッスン”は、何か物を使う必要はない。
むしろ、鉛筆1本で十分。
それ以上のものが、子どもの集中や想像を奪ってしまうことさえあると、今なら思えます。

そして何より──
「鉛筆1本でレッスンができる先生でありたい」というのが、私の理想像です。

それは、道具に頼らずとも、
子どもの心に火をつけ、音楽の本質を伝えられる“プロ”でありたいということ。

そしてそのレッスンには、ちゃんと「楽しさ」がある。
アイテムがなくても、笑顔がある。
本質を捉え、考える時間があるからこそ、響く音が生まれる。

レッスンとは、ただ「楽しい」だけではない。
できるようになる「楽しみ」、感性と、思考を耕す時間。

そして、指導者が「待つ」時間でもあります。

今日も、鉛筆1本で。
子どもたちと一緒に、
“心の中にある音”を探すレッスンを続けていきたいと思います。

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AIの時代に、なぜ“音楽”なのか──人にしかできないことを、ピアノで育てたい R6年6月17日(月)

こんにちは、毛利惠美です。
私はピアノ教室を運営して30年、これまで300人以上の子どもたちと音楽を通して向き合ってきました。
同時に、ピアノ教育を支える指導者の方々へのコンサルティングや、保護者への子育て支援にも関わっています。

ここ数年で、私の仕事にもAIが自然と入り込むようになりました。
文章の整理、企画の骨組み、資料作成、音声の要約──
想像以上に精度が高く、時には「私より仕事が早いかも」と思ってしまうこともあります。

でも、使ってみたからこそ、わかったことがあります。

AIは便利だけれど、「心を動かす」ことはできない。

AIは、膨大な情報や文脈から整った答えを返してくれます。
でも、そこに“熱”はありません。
「これ、面白い!」とこちらが思わず身を乗り出すような、突拍子もない提案や、
人生経験に根ざした飛躍は、生まれてこないのです。

それができるのは、「人」だけ、です。

経験して、傷ついて、考えて、想いを巡らせて、誰かに助けられて、支えあい──
心が動いた瞬間にしか出てこない表現や発想がある。
そしてそれは、何よりも他の誰か、そう、人の心に届くのです。

これは、音楽にもまったく同じことが言えます。

最近では、自動演奏ピアノやAI作曲も身近になってきましたね。
でも私は、それらの音楽を聴いて「心から感動した」経験がありません。

なぜなら、そこにはエネルギーが宿っていないから。
どれだけ正確に弾けていても、どんなにテクニックが優れていても、
そこに“人の想い”や“物語”が乗っていなければ、感動は生まれないのです。

音楽は、「感心」するものではなく、「感動」するもの。
上手だね、すごいね、と言われることはあっても、
“心に残る音”には、必ず演奏者の人生がにじんでいます。

ピアノの前に座る子どもたちに、私は問いかけます。
「どんな音にしたい?」「この曲、どんな気持ちで弾いてる?」

テクニックを身につけることは必要だし、もちろん大切。
でもその前に、“自分の心を音にする”ことを知ってほしいのです。

そしてその力こそが、これからの時代にますます必要とされると、私は感じています。

AIでは生み出せない「問い」や「想い」や「感動」を、
人間が、自分の感性で育んでいくこと。

それができるのが、音楽の世界であり、
ピアノという楽器がもたらす、かけがえのない時間です。

AIの時代に、なぜ“音楽”なのか。
私はこれからも、ピアノを通して、
人にしかできないこと、人だからこそ育つものを、
子どもたちと一緒に磨いていきたいと願っています。

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レッスンに通っているだけでうまくなるのか?R2年10月22日(木)

ピアノを習うと頭がよくなる?

よく記事で見かけますよね。

でも、実際はどうなの?ってお話し。

結論から言うと、なります。(断言できます)

ただし…が続きます。

じゃあ、おうちに楽器が用意されなくても?

練習しなくても?

それは、ないですね。。。残念ながら。

おうち練習がどうなのか?で頭がよくなる度合いが変わるということです。

おうちで練習していたら、頭がよくなるの?ピアノが上達するの?

ここにも、ちょっと心の隅にとどめておいていただきたいことがあります。

練習=○分弾く  ではありません。

練習=○回弾く  でもありません。

練習=できていない部分をできるようにする   です!!!

ということは、ピアノの先生が「この曲、弾いといてね。」 「ここできるようにしておいてね。」

という課題の出し方ではダメだということ。です。

具体的な練習方法を、伝えていく事が大切。

そして、それをおうちで再現する練習が大切。

的確な指導と、素直にやってくること。

そして、お母さんの声かけで、習慣化させていただくこと。

これをしていくと、ピアノも上達するし、頭もよくなります^^

生きていくうえで重要な7つの力がつきますからね。

レッスンに通うことと、的確な指導、おうち練習、お母さまの声掛け。

三位一体ですね。

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ピアノの先生の選びかたは?R2年09月9日(水)

ピアノの先生の選びかたポイントは?

先日、ある方と話していて、「ピアノの先生の選び方、 この3つしか今思い付かないんですよね。」

っておっしゃってました。

さて、その3つとは、なんだと思われます?

①近い

②友達が通っている

③結果を出している

やっぱり〜〜って思っていた2つと、結果を出すってとこは、それぞれの選び方に なるなぁって思いました。

①と②を打開したいんです。

じゃぁ、どんな選び方をしたらいいか?

私の3つの視点。

①通える範囲

②未来の一致

③相性

①は当然ですよね。

オンラインレッスンが可能なこの世の中ですが、 やっぱり「同じ空間でのレッスン」に 変えるものは・・・ない。

②はどういうことか?

先生の教室理念、どんな教育をするか?

そしてどんな未来に向かってレッスンするのか?

と、

お子さんのなりたい像、お母さんのお子さんへの 未来像が一致してなかったら・・・

例えば、コンクールに出て賞を取りたいっていう 生徒さんと、

コンクールは一つの成長の手段で、 自分の音楽を作っていく指導を目指す先生では、 一致していないんです。

ここが合わなかったら、悲しい結果になるの、 見えていますよね…

③は、先生と生徒の相性、 そしてお母さんと先生の相性が良好に気付くことが できているか?

途中で良好でなくなる場合もあります。

その時は勇気を持って変えることも大切。

生徒側も成長するし、先生側も成長する。

自分には必要な場所でなくなったり 必要な人でなくなる場合も もちろん出てきます。

それも当然あること。

双方が良い関係でないと、 習えない、指導できない、

そんな状態でのレッスンを続ける事は 悲しい結果を招いてしまう。

コロナがきっかけで、見直すことも出ているし、 これからも出てくるなって 最近、特に思っています。

私自身も常に成長を止めたくないので、 やっぱり立ち止まって見つめ直すってことを この半年たくさん行いました。

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気配り上手はピアノ上手H26年04月15日(火)

私が恩師に頂いた言葉を、最近良く思い出します。

「気配りができるとピアノは上手になる」

そのことは、色んな方と出会い、たくさんの子供たちとレッスンし、確信となりました。

ある一つの例を挙げますと、
教室の扉は非常に重いです。
なので、最後まで取っ手を持ったまま閉めないと、「バーン」とものすごい音がします。

気配りのできる子は、音を立てずに閉めてくれます。

なぜって、次の子のレッスンがもう始まっているから。

そういうことを、私も伝えるようにしないといけない、とは思っていますが、
自然とそれをやっている子がいることが素晴らしい!

相手を気遣うことは、余裕がないとできません。

ピアノの演奏もしかりです。

自分の音と聴いて向き合う、聴いている方の気持ちも考える。

演奏に、そして自分の気持ちに余裕がないとできません。

音楽を、ピアノを愛する気持ち
そして、周りの方に気配りができる心。

自分の心がどんな状態かのバロメーターにもなります。

人としてステキなジェントルマンとレディーになって欲しい♪

心して一人ずつと向き合いたい(*^_^*)

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ピアノ講師の理想像H23年02月19日(土)

子育てをするようになり、今まで以上に子育て番組や育児雑誌などを目にするようになったこの頃。
最近、その中で心に深く留まったこと。

「空っぽになる」こと と 「自分が好きで自信を持てる子に育てたい」こと。

ピアノ教室をはじめてままならぬころの私は、
自分があまり苦労せずに音が読め、弾けるようになってきたので、
「これくらいできて当然、なぜできないのか?」
と強く思ってしまっていました。

これからできるようになっていく過程にいるのに、
こちらが「できて当然。」なんて意識だと
できないときに頭ごなしに
「駄目じゃない!なんでわからないの!」ってことになって自信喪失・・・につながってしまいます。

子どもたちはとても敏感。
こちらの状況や感情を察知して影響してしまいます。
どんなに疲れてても笑顔で、ハイテンションで!
そうしてるとレッスンが終わった時、こちらも達成感があり気分爽快!
今日も楽しかったな~と思えます。
良いことずくめです♪

そして、良いことも悪いことも本気で真剣に伝えていく。

ご両親とは別に、なんでも話せて居心地の良い、子どもたちの居場所(避難所)になるのが
私の理想像であり、夢のぴあの教室です。

最後に、ひとりでできるようになったと思っていたけれど、
できるようになったのは、ピアノの先生やおうちでの練習をサポートする母のお陰。。。

できないのは、先生である私がそうしたんだ、と
セミナーで聞いてきたきつ~いお言葉!

肝に銘じておかないと(*^_^*)

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楽譜は作曲者からの贈り物 ~暗号解読 2~ H21年9月14日(月)

「言葉と音名の秘密」

J.S.バッハ大先生のバッハは、 BACH
ドイツ音名で読めますね! 「シ♭ ラ ド シ」
バッハ大先生はこれがとっても自慢だったんですって!

他にも、シューマン作曲の 「アベッグ(ABEGG)変奏曲」
ABEGGとい言葉を音名にして主題としました。
この曲をシューマンは、「ポリーヌ・フォン・アベッグ伯爵夫人に捧ぐ」としていますが、この伯爵夫人は実在しません。

シューマンは他にも、アッシュ(ASCH)という言葉も音名にして作曲しています。

自分の名前が音名になるって、ちょっと自慢ですよね~。
あなたの名前はなってますか??

日本人は難しいですよね。。。

私の名前は、まったくもって不可能です・・・。

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「継続」と「慰め」 H21年6月19日(金)

「才能とは、続けていく情熱」
私の好きな言葉です。

続けるってことは、苦しいという中だけでは、絶対に生まれてこない、と思っている私。
やはり、続けるってことは、そのことがその子の中で、特別に好きなことだから、つらくても続けられる。

ピアノの先生としては、それがピアノを弾くこと、になればとても嬉しいことだけど、そうではなく、ピアノ以外に情熱を持つことが見つかって、 それに向かってその子が生き生きと輝くのなら、笑顔で応援したい!

でも、そのことでの「つらいこと」にぶつかった時、音楽が心の慰めになったらいいなぁ、と思います。

ブルクミュラーの「慰め」をレッスンしていて、ふと思ったことでした。

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楽譜は作曲者からの贈り物 ~暗号解読 1~ H20年11月22日(土)

楽譜には、「暗号」がいっぱい隠されています。
作曲者が 「どうだ!この暗号が解けるか??」 と現代の私たちに挑戦状を贈ってくれているのです。

例えば、J.S.バッハさん。
インベンションの2番は、カノンの摩訶不思議・・・。
右手のメロディーラインを左手が2小節遅れで追いかけてくるのですが、11小節までまったく同じ!見事に美しい旋律なのですが、これが同じメロディーをただ、追いかけているだけで作曲されてるなんて!ですね。

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楽譜は作曲者からの贈り物 ~手紙~ H20年10月10日(金)

演奏するときも、レッスンをするときも
『楽譜』を作曲者からの大切なお手紙と思うようにしています。

読み間違えないように、自分の勝手な思い込みで読譜しないように、ときちんと譜読みしないと
大切な作曲家の想いが、
まるで違うものになってしまいます。

でも、やっぱり「お手紙」同様、読む時の心理状態で
受け取り方は変わってしまうもの。

数時間で見えなかったことが見えたり、
違う角度で見れたりもするんです。

だから、数年前に感じたこととは違うことも見えてきます。

どんな風にその「手紙」を感じるかは
個々のものですが、
間違った読み方はしないように、自分の演奏も、レッスンでも
心がけていきたいことです。

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スタインウェイ H19年9月22日(土)

数多くのピアノのメーカーが存在しますが、スタインウェイはコンサートホールの普及率が90%を誇ります。工程の80%が手作りです。1台ずつ音色が異なり、自分のピアノをホールに必ず運んだ、偉大なるピアニスト「ホロヴィッツ」もスタインウェイを愛用していました。

国産のピアノでも、素晴らしい音色のものも、もちろんあります。名器でもきちんと手入れをしていないと、状態の悪いものもありますし、弾き手によっても変わります。音色やタッチの好みの問題もあるので、一概にどのピアノが良いとは言えません。
でも、やはりホールでスタインウェイを聴いたり、弾いたりすると、あの素晴らしい音色にうっとりします。

どんなピアノを弾いても心に残るような音色が出せるように、技術も内面も磨いていかなければピアニストと言えないのでは、と私自身思っています。

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心に残る詩 H21年1月5日(月)

とても深く心に残っています。
ニューヨークのリハビリステーションに落書きされたものですが、サインはされてありJ.ロジャース.ルーシーという人がかかれたものだそうです。

大きなことを成し遂げるために力を与えて欲しいと神に求めたのに
謙遜を学ぶようにと弱さを授かった
より偉大なことができるようにと健康を求めたのに
より良きことができるようにと病弱を与えられた 幸せになろうとして富を求めたのに
賢明であるようにと貧困を授かった
世の人々の賞賛を得ようとして成功を求めたのに
得意にならないように失敗を授かった
人生を享楽しようとあらゆるものを求めたのに
あらゆることを喜べるようにと生命を授かった

求めたものは一つとして与えられなかったが願いはすべて聞き届けられた

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
心の中で言い表せないものはすべて叶えられた

私はあらゆる人の中で最も豊かに祝福されたのだ!

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ピアノ発表会を終えて H19年8月17日(金)

ピアノ発表会を終えて、舞台に立つということがどんなに大変なことか、そしてそれにも増してどんなに素晴らしいことであるかを改めて実感しました。

練習に練習を重ねても一回きりで、自分の持っているすべて力を出し切れるとは限りません。
いつもは弾けるのにと悔しい思いをするときが多いかもしれません。
でも、聴いて下さる人がいてその一時、一瞬を音楽で共用する、心を通わせることのできる場だと思います。
ここで終わりということはありません。満足してしまったら止まってしまいます。
好きという、弾きたいという気持ちを持ったままこれからも音楽に携わっていきたいです。そして、子供たちに音楽を好きな気持ちを持ったまま、大きくなっていって欲しいと願っています。

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